信濃毎日新聞デジタル
外国人実習生も加入義務あり 一時的に学びにきたが…
「母国に帰った技能実習生の年金関連の通知がずっと届く」。長野県南佐久郡南牧村で農業に携わる70代男性から、本紙「声のチカラ」(コエチカ)にこんな情報が寄せられた。15年ほど前から半年~3年ほどの期間で受け入れてきた実習生は30人超。既に帰国したのに「ねんきん定期便」などが届き続け、困っているという。いったいなぜなのか、厚生労働省や日本年金機構などに聞いた。
農家宅に届くのは…帰国した実習生宛ての「年金通知」
男性によると、実習生は県外の監理団体を通じて中国やフィリピン、ベトナムなどから受け入れ、住み込みで農業に従事。国民年金に加入していた。実習後は全員帰国したが、男性宅には実習生宛てに国民年金保険料の納付書が届くこともあるという。
実習生と直接連絡は取れないため、最寄りの年金事務所に聞くと、担当者は「返送してください」。男性は一部を返送し、配達員に持ち帰ってもらったこともある。近隣農家も「困っている」といい、男性は「もう日本にいないはずなのに。どういうことだろう」と不思議がる。
厚労省国際年金課によると、日本の公的年金は技能実習生も加入の義務がある。障害、死亡といったリスクは日本人と同じためだ。母国に戻るため資格を失った際は「脱退一時金」の請求もできる。帰国した元実習生宛てに通知が届き続けるのは、資格喪失手続きがされず「年金に加入したままになっているからではないか」とする。日本年金機構広報室によると、厚生年金の場合は事業主が資格喪失手続きをするが、国民年金は基本的に本人が手続きを行う必要があるという=図。