【レター返信】たんぱく尿の改善方法は?

【レター返信】たんぱく尿の改善方法は?

【レター返信】たんぱく尿の改善方法は?

先日レターで『たんぱく尿』についてのご質問をいただきました。
今日はその質問に声でお答えしていこうと思います。
 
たんぱく尿については、あまり意識されている方も多くないと思います。
なので、たんに改善方法だけでなく、原因や症状そして治療法など。
 
できるだけ分かりやすくお話していこうと思います。
この記事は、音声でもお楽しみいただけます。
 

たんぱく尿の改善方法は?

 
まずは、 頂いたレターから紹介します。
 
 
たかだ先生、こんばんは。
いつも、勉強になるお話や、朗読をありがとうございます。
先生のお話は、とても聞きやすくて、わかりやすいです。
 
お聞きしたい事がありまして、レターしました。
たんぱく尿が出やすい体質の場合、どういう食事や生活習慣をしていったら、よいでしょうか?
 
小さい頃から、たんぱく尿が出やすい体質で、治療して完治したのですが、また再発してしまいました。
 
年齢も50を超え、体力の衰えもそれなりにあります。
食事も若い頃よりは、たべられる量は減りましたが、良質な物をとるようにしています。
 
よいアドバイスがありましたら、教えてくださると大変嬉しいです。
よろしくお願いします。
 

たんぱく尿とは?

 
たんぱく尿は腎臓に何らかの異常が起きていることを示すSOSのサインです。
 
腎臓は『必要な物を体に留めて、不要な物をろ過して尿として体の外に出す』
このような働きをする臓器です。
少しむずかしい説明になってしまいますが。。。
 
腎臓の糸球体(しきゅうたい)というフィルターのような構造がこの役割を担っており、たんぱくは人間の身体にとって必要な物なため。
基本的には、身体の外に出ることはありません。
 
しかし、尿の中にたんぱくが混じっているということは?
糸球体をはじめ腎臓に何らかの異常がある可能性があります。
 
では、どうしてたんぱくが出てしまうのでしょうか?
 

たんぱく尿がでてしまう原因

 
たんぱく尿が出る原因のパターンは、大きく3の種類があります。
 
・生活習慣病が原因:糖尿病性腎症、高血圧、肥満など
・免疫や遺伝の病気が原因:IgA腎症(慢性糸球体腎炎)、ネフローゼ症候群、血管炎など
・その他:起立性タンパク尿(腎臓に異常なし)
 
この3パターンの中でどれに当てはまるかを調べるために。
病院などでは腎臓の特別な採血、尿検査、エコー検査などを行ないます。
 
では、どうやってたんぱく尿を治療していくのか?
 

たんぱく尿の改善(治療)方法

 
たんぱく尿の改善方法は、この3つが代表的なものになります。
 
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
 
1度悪くなった腎臓を再生する方法はありませんが、タンパク尿を改善させることで残っている腎機能を保護することができます。
タンパク尿が出ている原因にもよりますが、食事・運動の治療、薬の治療が大切です。
 
◆食事療法
塩分を減らして、定期的に評価をしながら野菜・果物・タンパク質の量を調整することが大切です。
食事の工夫は、腎臓病の食事療法が参考になりますので、後ほどくわしくお話しますね。
 
◆運動療法
運動の治療としては有酸素運動や筋力を鍛える運動をします。
 
◆薬物療法
薬の治療は、特に血圧と血糖値の治療が大切です。腎臓を守る作用がある薬
・RAS系阻害薬
・SGLT-2阻害薬
などを組み合わせて治療をするスタイルが一般的です。
 

腎臓病のための食事療法

 
腎臓病の食事療法として抑えておくべき大切なポイントは、3つです。
 
・塩分
・野菜・果物
・たんぱく質
 
それぞれ、くわしくお話しますね。
 

◆塩分について

 
腎臓の食事療法で一番大切なのは、塩分を減らすことです。
塩分を減らすことで、以下のような効果が期待できます。
 
・血圧を下げる
・薬が効きやすくなる
・腎臓の障害を抑える
 
塩分摂取は6g/日以下を目指しましょう。
6g/日は日本人の平均的な塩分摂取の半分くらいの量です。
 
この目標を達成するのは、かなり厳しいことが多いです。
腎臓病の患者さんで10-20%程度しかこの目標を達成できません。
 
塩分の調整は気合ではなくテクニックで、次のような工夫をすると良いでしょう。
 
・酢の物を好んで召し上がる
・ダシや香辛料を積極的に使う
・具を増やす
 

◆野菜・果物について

 
野菜・果物に含まれるミネラル「カリウム」が腎臓病の患者さんで問題になることがあります。
腎機能が低下すると腎臓からのカリウムの排泄が少なくなり、体に溜まってしまい「高カリウム血症」になります。
 
高カリウム血症は、突然死の原因となる心臓の不整脈を引き起こす可能性があるので腎臓病の患者さんでは野菜・果物を控えるように言われています。
カリウムを多く含む食事として以下のようなものがあります。
 
◆果物
バナナ
アボガド
キウイフルーツ
さくらんぼ
メロン
なつみかん
もも 
 
◆野菜
いも類全般(里芋、さつまいもなど)
かぼちゃ
白菜
キャベツ
なす
 
ただし、最近では野菜・果物の制限が、腎臓病の患者さんの健康にとって望ましくない状況を生んでいるのではないかという報告もあり、注意が必要です。
 

◆たんぱく質について

 
タンパク質は、体に吸収された後に代謝を受けて最終的に尿素窒素(BUN)になります。
このBUNがつぎのような理由(ちょっと難しい説明です)で腎臓に影響を及ぼします。
 
・腎臓の糸球体への負荷
・代謝性アシドーシス(血液が酸性になる)
・ミネラルの異常
 
そのため、腎機能低下があるときは、たんぱく制限が推奨されることがあります。
たんぱく質については、動物性タンパク、植物性タンパクに分けてメリットを考えていくと良いでしょう。
 
動物性たんぱくは、アミノ酸を効率的に体に取り入れることがメリットです。
植物性たんぱくは、野菜・果物にふくまれるビタミン、食物繊維も同時にとるようにしてください。
 
このあたりの食事の工夫で、少しづつですが状態は改善していくと思います。ぜひできるところから、チャレンジしてもらえると嬉しいです。
 

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