■6歳の女児を押し入れに放置…死亡させた疑い
逮捕監禁致死などの罪に問われているのは、岡山市南区築港新町の内装工・船橋誠二被告(40)。起訴状などによると、船橋被告は2021年9月、交際相手の西田彩被告(35)と共謀し、西田被告の娘の真愛ちゃん(当時5)の髪を引っ張ったり顔を殴ったりしたほか、長時間、椅子に置いた鍋の上に立たせるなど繰り返し暴行。
そして真愛ちゃんが6歳の誕生日を迎えた翌日の9月25日、真愛ちゃんの全身に布団を巻き付けて、逆さまにして押し入れの中に放置し意識不明の状態にし、約4カ月後の2022年1月に低酸素脳症で死亡させたとされている。
西田被告は、末っ子の真愛ちゃんを含む4人の子どもを育てるシングルマザーで、船橋被告は岡山市内で妻と子どもらと暮らしながら、頻繁に西田被告の家に通っていた。
■“見守りカメラ”には常習的な虐待の様子が
10月11日に岡山地裁で開かれた初公判。逮捕時に伸びきっていた髪を丸刈りにしてグレーのスーツ姿で法廷に姿を見せた船橋被告は、「全て間違いないです」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、マッチングアプリで西田被告と出会った船橋被告が、西田被告の生活全般に関わるようになり、真愛ちゃんが家で食事をすることや排せつをすることを制限したり、殴る蹴るなどの日常的な虐待を繰り返していたと指摘した。
証拠の1つとして提出されたのが、船橋被告が西田被告の家のリビングと寝室に設置していた“見守りカメラ”の映像だった。そこには、昼夜問わず船橋被告が真愛ちゃんに行う虐待行為の様子が残されていた。
2021年9月8日から9月25日の映像には、「船橋被告が真愛ちゃんを殴る、蹴る、噛む様子」「真愛ちゃんが椅子に置いたポリタンクや鍋の上に立たされた状態でうずくまって寝たり、バランスをとりながら食事をする様子」「真愛ちゃんが鍋ごと椅子の上から落下するも、再び自ら椅子の上に立ち続ける様子」「真愛ちゃんの顔面を尿の付いた布で強く拭う様子」が映っていた。
また、「真愛ちゃんにどんぶりを持たせ、『ご飯とパン、出して』『指入れて頑張ってね』などと嘔吐(おうと)するよう要求し、真愛ちゃんが自ら口に指を入れる様子や、船橋被告が嘔吐物を確認し、『全然出てないな』と発言すれば、真愛ちゃんは船橋被告が去っても嘔吐を続ける様子」などもあった。
そして真愛ちゃんは、船橋被告からの命令に従い、時には真愛ちゃんが船橋被告を見つけ、ズボンをつかみ直立不動になる姿も残されていた。
その間、母親の西田被告は、虐待されている真愛ちゃんの近くを通過するも、助けることなく船橋被告の虐待を容認する姿が確認された。
さらに、2021年9月25日の映像には、真愛ちゃんが全身を布団で巻き付けられたあとの船橋被告と西田被告の会話が記録されていた。
船橋被告:
扉の中に閉まっとる
西田被告:
きょう(布団で)ぐるぐるだね
船橋被告:
ぐるぐる。ぐるぐるでトンと置いとる
西田被告:
(布団をきつく)絞めてないん?
船橋被告:
あけとる。ゆるめで長期保存考えとるけど、ゆるめだとあいつ暴れるから
睡眠や食事の時間も与えられず続いた虐待は、真愛ちゃんが低酸素脳症で救急搬送されるまで毎日続いた。
弁護側は、虐待の事実関係に争いはないとし、争点は刑の重さに絞られた。
■「『なんでーまーちゃん生んだの』と言われた」