強く批判されたのは、子どもだけで留守番をさせることや、子どもだけの登下校といった、禁止事項の事例だった。これらは改正案には明記されておらず、自民が想定したものだ。
一方、現行条例はすでに、子どもの養護者の安全配慮義務を規定している。これを踏まえれば、登下校中の子どもに防犯ブザーを持たせるなどの配慮をした場合、保護者の同行がなくても「放置」に該当しない。
改正案は4日に提出され、6日には福祉保健医療委員会で可決された。しかし、自民側は安全配慮義務が前提になっているという説明を怠り、どういうケースが禁止事項にあたるかの例示に終始した。その結果、大きな反発を招いた。
田村団長は、「言葉足らずだった」と繰り返し、「猛省している」と陳謝した。一方、子育て家庭を支援する体制整備が先決だとする指摘には、「それでは改正まで何年かかるかわからない。改正案で加速度的に支援できればと考えた」と述べ、改正案の内容自体に欠陥はなかったと主張した。
■想定した「禁止事項」に多くの批判
自民が想定した禁止事項は多くの批判を浴びた。
妻と共働きで4歳と7歳の兄弟を育児中という川越市の自営業男性(48)は、「子どもを守るという理念は理解できるが、短時間の買い物なら留守番をさせることもある。それが子育ての現実なのに……」と首をかしげた。入間市で乳幼児の一時預かりや子ども食堂の運営を担うNPO法人「AIKURU」の村野裕子理事(51)は「一人で通ってくる子どもは多い。それも通報すべきなのか。安心できる居場所という子ども食堂の意義が薄れる」と憤慨していた。