中国産の梨は、国内に害虫がまん延する恐れがあるために、輸入が禁止されている。
この事件の取材を進めていくと中国業者と大阪をつなぐ複雑なルートが見えてきた。そして全国的な広がりも。
直撃取材でその実態に迫った。
【写真を見る】“悪魔の害虫”と言われる「コドリンガ」…幼虫が果実の中に入り込んで実を食い荒らすという
・輸入禁止されている「中国産の梨」…果実に潜む“悪魔の害虫”
9月20日、植物防疫法違反などの疑いで逮捕された中国籍の張影容疑者(28)。
千葉県を拠点とする密輸組織のリーダー格とみられている。
2022年11月、輸入が禁止されている「中国産の梨」約28kgを国際スピード郵便の荷物に紛れさせて密輸した疑いが持たれている。
捜査関係者によると、張容疑者は密輸した梨を大阪府内の中国食材を取り扱う店で販売。
他人名義の口座を不正に使って中国の業者に仕入れ代を送金していたとみられている。
2022年11月に関西空港の植物防疫所で密輸が発覚し、警察が捜査に乗り出した今回の事件。
そもそも、なぜ中国産の梨の輸入は禁止されているのか。背景にはやっかいな害虫の存在があるという。
それが「コドリンガ」と呼ばれる蛾の一種だ。成虫は羽を開いた状態で2cmほど。日本国内での生息は確認されていない。
梨やリンゴの葉の表面に卵を産み、幼虫が果実の中に入り込んで実を食い荒らすという。
日本政府はこのコドリンガなどが国内に持ち込まれる恐れがあるとして中国からの梨の輸入を全面的に禁止している。
関西空港の植物防疫所は水際対策の最前線だ。
(職員)「犬が反応しましたので、該当の箱を開けて中に植物類・動物類がないか確認します」
2022年11月、この場所で郵便物の中から中国産の梨が見つかった。
幸い、コドリンガの寄生は確認されなかったが、ひとたび侵入すれば日本で梨を生産できなくなる可能性もあるという。
(神戸植物防疫所・関西空港支所 清水佳史次長)「悪魔の害虫と言われているような害虫です。
(Q日本でまん延した場合は?)梨やリンゴの産地の被害が計り知れないですね」
ー後略ー