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4月14日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)にカジノを含む統合型リゾート(IR)を整備する計画を、国土交通大臣が認定した。2029年秋~冬の開業を目指し、日本初のカジノが動き出すことになる。
計画では、米カジノ運営大手MGMリゾーツ・インターナショナルやオリックスなどが出資する「大阪IR株式会社」が、カジノやホテルの運営を担う。
開業3年後の年間来場者を約2000万人、年間売り上げは約5200億円を想定しており、8割程度をカジノが占める。初期投資額は1兆800億円で、年間約9.3万人の雇用創出も見込んでいる。
府は2022年4月、IRの概要をまとめた整備計画を国に申請。国土交通省は、経済や観光、ギャンブル依存症の専門家ら7人でつくる審査委員会を設置し、国際競争力や経済効果、依存症対策などさまざまな面を審査した。
国交省が公表した審査報告書によると、計画は1000点満点で657.9点。認定条件の600点以上はクリアしたが、6段階評価で上から3番めの「B(優れている)」となった。
『大阪破産』などの著書もある在阪ジャーナリストの吉富有治氏に話を聞いた。報告書で気になる点が2つあるという。
「まず気になるのは、来場者予想数について、『根拠は不明瞭』としている点です。国内約1360万人、海外から約630万人で計1990万人。隣接するUSJでさえ、最高で年間1460万人(2016年度)です。
最初は物珍しさから来るとは思うんです。でも、それが何年も何十年も続くかは疑問。収益見込みは年間売上が5200億円で8割がカジノ頼み。風呂敷を広げすぎではないでしょうか。
数字を出してきたのはカジノ事業者のほうです。当事者が風呂敷を広げるのはわかりますが、やるならやるで第三者が検証できるような、もう少し冷静な数字を出してはどうかと前から思っていました。
私自身はカジノに賛成でも反対でもないんです。ただ、やるなら成功させないといけない。風呂敷を広げすぎて、実際にスタートしたら来場者が少なくて撤退する、では困るわけです。
民間の事業ですが、カジノIRの収益から年間1000億円以上が大阪府・市に入ることになっています。松井一郎・前大阪市長は『カジノをうまく利用して、儲けたお金を福祉に回す』と言っていました。そのため、広げすぎた風呂敷を前提にして予算を組むと、そちらも狂ってしまうわけです」
当初、公費負担はないとされたが、大阪市は事業者に求められ、すでに土壌対策費約790億円を負担することが決まっている。