日本史を勉強しよう
歴史は暗記科目ではない
多くの人が勘違いしていることでしょう。
歴史という科目は断じて暗記科目ではありません。
確かに覚えなければならない用語は、他の教科や科目と比べると多いです。
数学と比べると数十倍に及ぶでしょう。
それを暗記という行為だけで習得しようとするのが、そもそもの間違いです。
歴史上起こった出来事にはつながりがあり、関係があるからです。
それをうまく利用していけばいいのです。
例えば戦争
歴史で必ず学ぶものの一つに戦争があります。
何の理由もなく始まったのでしょうか?いえ、違います。
その背景には自国の状態や、周辺国との関係性などが必ず関係しています。
なぜ終戦するのでしょうか?
戦争はどちらかが勝ち、どちらかが負けるものです。
その理由は様々ですが、理由なく勝敗が決することはありません。
お金や戦力が払底したのかもしれませんし、第三国の介入、参戦が影響することもあります。
戦後は?
戦争が終結すると、何らかの条約などが結ばれ、国境線の変更や賠償金の支払いなどが決まります。
日本は第二次世界大戦の敗戦で、大きく変わりました。どうなったのでしょう?
このように様々なことには、つながりがあるのです。
戦前の自国、周辺国の状況
戦中の自国、周辺国の状況、その他の国の影響
戦後の条約、その後の変化
前からと後ろから
例に挙げた戦争を時代の前からと後ろから考えていきます。
前からは、上に書いた順で追っていけばいいでしょう。
後ろから勉強するときは、戦後から順に「なぜそうなったか」を追います。
そこには必ず何らかの思惑があり、国家間の意思の戦いや水面下での交渉があります。
前から考える場合は「××だから〇〇になった」ですね。
後ろから考える場合は「〇〇になったのは、××だから」となります。
このように両方から考えることで、頭の中が整理され、どんどんとつながっていきます。
そして前後関係と因果関係ができあがり、記憶は強固になります。
つまり忘れにくくなるわけです。
例えば年号だけを覚える場合と比較してみましょう。
・1941年 真珠湾攻撃で太平洋戦争開戦
・1945年 日本敗戦、ポツダム宣言受諾
・1952年 サンフランシスコ平和条約
と年号と出来事だけを覚えても、つながりがなければ非常に忘れやすくなります。
一方、前からと後ろからの因果関係を整理しつつ学習していけば、一連の出来事として捉えることができるのです。そして忘れにくくなります。
大から小へ
前項では太平洋戦争を例に、出来事を関係性でとらえることについて話しました。
最終的には、上に書いたように詳細部分までを理解する必要があります。
しかしその前にやっておくべきこと。
それが「大から小へ」です。
歴史教科書の後ろには必ず年表がついています。
まずはこれを頭に入れます。
非常に大きな「〇〇時代」という括りから、その順序まで。
例えば、平安時代の次は鎌倉時代です。
鎌倉時代の次は?という感じで、すべての「〇〇時代」を頭の中でつなげます。
為政者を把握する
平安時代は天皇家の政治で始まって、やがて貴族の藤原家が実験を握るようになります。
その後、武家である源家が政権を握る武家政治(鎌倉時代)に変わっています。
天皇家→藤原家→源家の流れですが、なぜ為政者が変わったのでしょうか。
そこには必ず理由があります。
藤原家が実験を握るまでの過程で、天皇家との姻戚関係構築があったはずです。
源家が時代を支配するまでに、荘園の発達や武士の隆盛があったのです。
それらにも因果関係があり、なぜそうなったかの理由があります。
まずは時代を覚え、為政者を把握することで、その変化についても理解することへとつなげていきます。
人々の暮らしを理解する
いつの時代でも大衆の暮らしと政治は切っても切れない関係を持っています。
特に日本は歴史の大半が農業中心ですから、人々の暮らし=農業の発展と歴史の流れは深い関係を持っています。
例えば先ほど登場した荘園。
なぜできたのでしょうか?
元々は奈良時代の口分田が始まりです。
時代を経て口分田を放り出す人々が続出ました。
最終的には墾田永年私財法へと結びつきます。
自分が切り開いた田畑が永遠に自分の財産になるのなら!
ということで、開墾が進みましたが、それを悪用する人が出てきます。
その結果、権力者所有の大規模荘園が発生します。
広大な荘園ができあがるとその管理も必要になります。
ならず者も多くいたことでしょう。
で、武士が登場するわけですね。
本当のところはどうなのかわかりませんが、こうやって詳細化しながらつなげていくわけです。
誤解を恐れずにいうなら、理由は自分なりの理解でもかまわないのです。
心配なら教科書でしっかりと正しい理由や根拠などを頭に入れてください。
文化について理解する
文化についても入試などでは相当な数が出題されます。
これも暗記だけでは乗り切れません。
ここまで読んでいれば、文化の発展にも時代背景などが影響していることがわかるでしょう。
例えば平安時代の国風文化。
それまで少しずつ発展していた日本独自の文化が、遣唐使廃止によって大きく成長したと言われています。
鎌倉時代の文化は、当然ながら武家の思想や生活などが反映されています。
それらを頭に置いたうえで文化を覚えていくと、間違った記憶は発生しにくくなります。
数多く覚えなければならないからこそ、時代背景や政治との結びつきを記憶に利用するのです。
周辺国との関係
日本史を勉強するうえでは、朝鮮や中国との関係は特に重要です。
政治、文化、農業に多大な影響を受けているからです。
稲作が伝来したのも、数多くの宗教や文化が伝わってきたのも大陸からです。
織田信長の時代にヨーロッパとのつながりも強くなります。
その後、豊臣秀吉の朝鮮出兵もありました。
江戸時代の鎖国期間は長く続きます。
ペリー来航までは、日本は朝鮮、中国とのパイプ以外は細々としたものだったのです。
さて、年表に戻ってください。
ここで年表を縦に見る必要性が発生します。
諸外国と日本のつながりを理解するには、日本が〇〇時代の時に、朝鮮や中国はどうだったのかを結び付けなければなりません。
先ほどまでは日本だけに注目して年表を見ていたのですが、ここで外国との関係に注目します。
ですから、必ず日本と外国の同時代の状況を把握しなければならないわけです。
これで年表を縦横に使うことができます。
余裕があれば、欧米の状況も頭に入れておくとよいでしょう。
中学校では日本史、世界史の区別はなく、全体を大まかに理解しなければならないのでなおさらです。
高校で日本史のみを勉強する場合でも、同時代の世界の状況を知っておくことは、理解の一助となります。
教科書を繰り返し読む
あとは教科書を繰り返し何度も読み返して、知識を補強し、理解を深めていきます。
読む前に、必ず年表を確認し、何時代か?為政者は?農業は?文化は?諸外国の状況は?などを頭に入れておきましょう。
その状態で読み込むことで、事項や出来事の関係ネットワークが頭の中に構築されていきます。
しかし、教科書をただ読むだけでは、究めるレベルには到達できません。
そこで、一度読んだら、記憶に残っているキーワードをすべて書き出すのです。
各時間がもったいないと感じるなら、頭の中に書き出すだけでもいいです。
とにかく一度アウトプットするのが効果的です。
人間の脳はインプットだけでは限界があります。
アウトプットをしてみる。つまり使ってみることで記憶は定着します。
アウトプットが終わったらもう一度教科書を読みます。
そしてまたアウトプットをします。
これを数回繰り返した後に、問題集をやってみてください。
答えは必ずノートに書きます。直接書き込まないでね。
問題集はわからなかったところは、無理に考える必要はないです。
さっと、〇付けして、間違ったところは×だけ記入。
答えは見るだけで書き込んではいけません。
そして再度教科書を読みます。
そうすると間違ったところや、わからなかったキーワードが突然浮かび上がるように目に入ってきます。
読後に軽くアウトプットをします。
そして、また問題集をやります。
これを繰り返すうちに、かなりの記憶が定着します。
最後に
日本史の勉強法のポイントは以上です。
あとは、細々したところを覚えていくだけなのですが、量は膨大です。
だからこそ、縦横の関係や、前後関係に注目して、つなげ、理解するのです。
この時に大切なことは、必ず年表をみること。
そして教科書を隅々まで繰り返し読むこと。
図や表をおろそかにしないでください。細かく見ていきましょう。
特に文化関係は教科書の写真だけではなく、ネットでも調べておきましょう。
異なる角度からの写真なども頭に入れておく必要があります。
そして、必ずアウトプットをすること。
問題集を繰り返しやること。
です。
これらを実践すれば、単に暗記するよりもはるかに効率的に歴史を学ぶことができますよ。