こんなはずじゃなかったのに。
おかしい。
なぜこんなことになってしまったんだろうか…? 俺はそんなことを思いながら、ベッドの上で仰向けになって天井を見つめていた。
俺が今いる場所は自宅ではない。
ここは病院だ。
昨日は学校を早退して家に帰った後、そのままずっと寝込んでいた。
そして、今日も朝からこうして病院にいる。「まさか本当に熱が出るとはな……」
そう呟きながら、自分の額に手を当てる。
確かにまだ少し熱い気がするけど……。
でも、それはきっと気のせいではないと思う。
「まぁ、とりあえずこれで明日は大丈夫だろう」
そう自分に言い聞かせるように言ったあと、俺はゆっくりと目を閉じた。
すると次の瞬間には、また深い眠りに落ちていった。
◆ ピピッ! ピピッ! ピピッ! 電子音が病室に鳴り響く。
その音で目が覚めた俺は、すぐに体温計を取り出した。
「37.6°Cか……」
予想通りといえば予想通りの平熱だった。
どうやら無事に下がったようだ。
それにしても……我ながらよくこの程度の熱で済んだものだなと感心してしまう。
まあ、それもこれもちゃんと薬を飲んで大人しくしていたおかげなんだろうけど。
ちなみに今はもう昼過ぎだから、あの後は結局一度も起きることなくぐっすり眠っていたことになる。
それなのにこれだけ体調が良くなっているということは、やっぱりそれだけ睡眠というのは大事なものなんだなと思ったりもした。
だけど、一つだけ問題があるとすれば―――
「これってやっぱり怒られるよな……?」
俺はスマホを手に取り、メッセージアプリを開いてみた。
そこには『ごめんなさい』という文字と共に、たくさんの猫たちが土下座しているスタンプが表示されていた。
これは間違いなく由香里からの返信である。
しかもただの返事ではなくて、おそらく電話を掛けてきたということを表していると思われる数字が表示されている。
つまり、このままだと着信が来るかもしれないのだ。
一応連絡だけは入れておくべきだろうと思って、俺は恐る恐る電話をかけることにした。