読売新聞
北海道内でバスの減便が相次いでいる。札幌市内の路線バスの便数はここ5年で2割弱減少し、地方をつなぐ都市間バスも廃止の動きがある。運転手は低賃金で若者の就職希望者が少なく、人数がピーク時の7割まで減少しているのが要因だ。日常生活を支える公共交通が揺らぎ、特に車を運転できない高齢者から窮状を訴える声が上がっている。
高齢者「不便」
「バスがなくなって、すごく不便になった」。6月11日午後、札幌市厚別区のもみじ台団地内にあるバス停の前で、近くに住む女性(72)がつぶやいた。このバス停からは、JR新札幌駅を経由して札幌駅まで1本で行くことができたが、今年3月末に札幌駅までの系統が廃止となった。
新札幌駅まで行けば乗り継げるバスはあるが、女性は足が不自由で乗降の負担が大きい。友人とのランチや買い物でたびたび出かけていたが、ダイヤ改正以降は控えることが多くなった。「この団地は高齢者が多く、バスは生活に必須。1日1便でいいから戻してほしい」と切実だ。