闘病マダム Ⅲ

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闘病マダム Ⅲ

            5時55分

お客様とは6時に駅前で約束をしていました。私が倒れたのはその5分前、5時55分!
運よく6時まで診察時間の内科個人病院のすぐ前で倒れました。すぐさま診察され脳梗塞だと診断を受け近くの総合病院に搬送されました。そのまま家に戻れず三か月以上の闘病生活に入るのです。
むろん店も休業、おりしもコロナで半分くらいしか開けていませんでしたが。

            カラオケ

うちのバーは賄いアンド占いのコンセプトで営業していました。音楽は有線のみ、カラオケ置かなければ店は流行らないから置いてくださいよ、と業者の営業さんに何度も頼まれましたが私の返答はいつもNO。
カラオケが嫌いな訳ではなく、うるさくなったら静かに飲みたいお客様の雰囲気が壊れるからです。自分自身も店内が騒がしいのは好みませんでした。
なのに、たまにカラオケを行くのは楽しみなのです。
矛盾するようだけれど店は自分の隠れ家的なセカンドハウスだったのでしょうね。
自宅もテレビがやかましいのは苦手だから自室で静かにこもっています。

                   音

神経症になった昔、嫌いな音が聞こえると耳を防ぎその場から立ち去る、ということが多々あった。
一番苦手なのは清掃車のゴミを粉砕する音だ。
自分が潰されるような感覚に陥ってしまう。体まで痛みを感じてしまう。
周囲の人にはあまり理解してもらえなかった。
しかし、ある日雑誌で外国のある有名監督のインタビューを見て自分と同じで嬉しかった。

「僕は清掃車の粉砕音が大嫌いです」

比べるのもおこがましいが、自分と同じで、彼もいろいろな事を想像するのだろう。
この話はこれ以上は避けたいからここまでにします。

                       
                              (つづく)

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